個人事業者の方が帳簿を記帳する際に使用する勘定科目は、法人が使用する勘定科目と基本的に同じですが、個人事業者特有の勘定科目があります。
それは、「事業主貸」と「事業主借」です。
「じぎょうぬしかし」と「じぎょうぬしかり」と読みます。
これらを「事業主勘定」と言います。
簿記を勉強されている方でも、この勘定科目は、試験にもほとんど出題されないため、詳しく知らない方もいらっしゃいます。
では、どのような時に「事業主勘定」を使用するのでしょうか?
個人事業者の方の取引は、”事業”と”プライベート”を切り離して考えることが難しい場合があります。
”事業”と”プライベート”の取引が混在した時に「事業主勘定」を使用します。
以下、具体例で説明します。
事業主貸
(例)
・事業用の口座から、生命保険料(”プライベート”)の引き落としがあった時。
(借方)事業主貸 (貸方)預金
事業用の口座から生活費を現金出金した時や、プライベートの口座に資金を振り込んだ時も、同様の仕訳になります。
つまり、事業用の資金をプライベート(必要経費にならないもの)に使用した時に「事業主貸」を使います。
事業主借
(例)
・プライベートの口座から、事業用の口座へ資金を振り込んだ時。
(借方)預金 (貸方)事業主借
・プライベートの口座から、事業用の消耗品の支払いをした時。
(借方)消耗品費 (貸方)事業主借
つまり、プライベートの資金を事業用に使用した時に「事業主借」を使います。
まとめ
以上が「事業主勘定」の使い方ですが、慣れるまで少し複雑に感じるかもしれません。
「事業主勘定」は、”事業”と”プライベート”を明確に区分するために欠かせない勘定科目です。
事業に関係しない入金や出金について「事業主勘定」を使用することで、適正な事業所得が計算されます。