個人事業者の方で事業を開業された時に、今までプライベートで使用していた車を事業用に転用することも多いかと思います。
そのような場合、必要経費としていくら計上できるのでしょうか?
具体例で説明していきます。
上記の例で具体的に計算をしていきます
計算の流れは、次の2つをする必要があります。
①転用時の「未償却残高」の計算
令和4年分以降、あといくら必要経費として計上できるのかを算出します。
②令和4年分の「減価償却費」の計算
令和4年分中に必要経費として計上できる金額を算出します。
未償却残高の計算
まず、①「未償却残高」は次の計算式により算出します。
(計算式)
※1 業務の用に供されていなかった期間に係る年数に1年未満の端数があるときは、6か月以上の端数は1年とし、6か月に満たない端数は切り捨てます。
※2 1.5倍に相当する年数に1年未満の端数がある時は、1年未満の端数は切り捨てます。
(具体例の計算)
①取得価額
2,000,000
②業務の用に供されていなかった時に減価した額
2,000,000×0.9×0.111×4年=799,200
※0.111(耐用年数6年を1.5倍した「9年の償却率」)
③未償却残高(①ー②)
2,000,000ー799,200=1,200,800
減価償却費の計算
次に、②令和4年分の「減価償却費」の計算をします。
①定率法を選択している場合
1,200,800×0.333×9/12=299,899
②定額法の場合
2,000,000×0.167×9/12=250,500
(参考)
・0.333(耐用年数6年の定率法償却率)
・0.167(耐用年数6年の定額法償却率)
・9/12(令和4年4月に転用しているため9カ月分)
令和4年末の未償却残高
令和4年末の未償却残高は次のようになります。
①定率法を選択している場合
1,200,800ー299,899=900,901
②定額法の場合
1,200,800ー250,500=950,300
この金額が、令和5年分以降、必要経費に計上できる残高になります。
まとめ
計算式が少し複雑に思えたかもしれませんが、プライベートで使用していた資産を事業用に転用した場合は、上記の計算式により算出した金額を、減価償却費として必要経費に計上できます。