法人税や所得税は、納税者自らが税額を計算し、申告・納税する「申告納税制度」が採用されています。
この申告された金額が、適正であるかを確認するのが税務調査です。
税務調査には2種類あります。
1強制調査
強制調査とは、国税局査察部が裁判所の令状を持って、強制的に行う税務調査です。
2任意調査
任意調査とは国税局や税務署が「質問検査権」に基づいて任意に行う税務調査です。
「任意」といっても、納税者には受忍義務が課せられていますので、正当な理由もなく調査を拒否することはできません。
税務署の職員が行う調査はすべて、任意調査です。
以下では、個人事業者(所得税)の任意調査が、どのようにして行われ、何をするのかを説明していきます。
連絡はあるのか?
通常は、事前に税務署から「〇月〇日〇時」に調査に伺う旨の電話連絡があります。
これを事前通知といいます。
都合が悪い場合は、理由を伝えれば日時の変更も可能です。
また、事前通知がなく、突然、調査官が事業所や自宅に来て調査を行う場合もあります。
事前通知があるかないかは、業種や申告内容によって決められます。
調査官は何名来るのか?
通常は1名ないし2名です。
業種、規模、申告内容によっては3名以上の調査官が来る場合があります。
調査初日は何をするのか?
まず、「事業内容」や「日々の記帳状況」などの聴き取りが行われます。
次に、聴き取り内容をもとに、請求書・領収書・通帳・帳簿などを確認しながら調査が進められます。
現金や書類の保管場所を確認する場合もあります。
調査官から色々質問をされますので、落ち着いて回答しましょう。すぐに回答できない場合は、後日でも問題ありませんが、決して嘘をつくことはしないで下さい。
調査は過去何年分するのか?
通常は、過去3年分の調査を行います。
調査中に不正が発見された場合などは、最大7年前まで遡って調査されます。
調査初日以降は何をするのか?
通常、調査が1日で終わることはありません。
調査官が調査初日に、3年間の帳簿や請求書等を確認することはできないため、書類を預かり税務署内で検討することもあります。
また、調査に必要であれば、税務署が取引銀行や取引先に対して取引内容の確認を行います。
調査終了までに1~2か月程度かかるのが一般的です。
もちろん、規模や内容によっては、終了までに半年や1年以上かかる場合があります。
まとめ
国税局や税務署の調査官は、調査のプロです。
申告している内容が適正であるか、あらゆる角度から検討していきます。
調査方法や質問内容も多岐にわたります。
初めて調査を受ける方は、緊張や不安もあり、対応に困ることがあると思います。
顧問税理士がおられない方は、調査の立会い経験が豊富な税理士を探して、調査の立会いをお願いすることをお勧めします。