「自家消費」とは、事業用の棚卸資産を事業主が消費したり、知人に贈与したりすることを言います。
「家事消費」と言うこともありますが、意味は同じです。
この場合、消費したものを収入として計上しなければなりません。
では、具体的にどのような場合に「自家消費」が発生し、計上金額はいくらにすべきなのでしょうか?
自家消費が発生する時
・居酒屋を営まれている方が、棚卸資産である瓶ビールを飲んだ。
・雑貨の小売業を営まれている方が、棚卸資産である雑貨を自分のものとして使った。
・時計の小売業を経営まれている方が、棚卸資産である時計を知人にプレゼントした。
など。
つまり、事業用として仕入れたものを、販売せずに、自分で消費したり、知人に贈与した場合に「自家消費」として収入に計上することになります。
計上金額
原則は、通常他の方に販売する価額により計上することになりますが、棚卸資産の取得価額以上の金額で計上している場合は、その金額でも構いません。
ただし、その金額が販売価額の70%に満たない場合は70%となります。
具体的な計算方法
先ほどの、居酒屋を経営している方が瓶ビールを飲んだ場合で考えてみます。
通常の販売価額 500円
仕入価額 300円
とします。
原則は、500円で計上することになりますが、仕入価額以上で計上することも可能です。
ただし、販売価額の70%に満たない場合は70%。
つまり、500円×70%=350円以上ということになります。(300円<350円)
参考
消費税の課税事業者の方は、自家消費も課税標準として消費税が課税されます。
その際の計算は所得税と少し違います。
仕入価額以上の金額、かつ、通常他の方に販売する価額の50%以上の金額を対価の額として確定申告した時はその扱いが認められます。
上の例で言えば
500円×50%=250円なので、仕入価額300円以上ということになります。
まとめ
なぜ、自分の店のビールを自分が飲んで、収入に計上しないといけないのか?
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ビールが仕入れとして原価に計上されている以上、自家消費があれば収入を計上する必要があります。